吉村昭
随分前からの愛読書の一冊。
登場人物達の心の浮き沈みや風景が生き生きと目に浮かぶ秀作だと思います。
日本が鎖国していた時代、脆い木造の帆船で嵐に巻き込まれて遥か南東の無人島に漂着する話です。
ところで、こういった無人島への漂流モノに女性が主人公の話はあるのでしょうか。今のところワタシは知りませんが、もしかしたら有るのかも??
ただ女性というのは、往々にして他者への投影により自己を認識する性質が強いと思われ、投影できる他者が存在しない中たった一人で何年も生き続けるというのは難しいように感じます。だからないのかな。
何度読み返しても切なくなる話です。